固体金属では、電流は電子の流れによって生じ、電位の高いほうから低いほうへと流れる。他の媒体では電子以外の荷電粒子の流れが電流を形成する。電荷担体の種類に依存しない電流の定義のため、一般に電流は正電荷と同じ方向に流れるものと定義される。金属では電荷担体(電子)が負であるため、電流の向きと電子の流れの向きは逆となる。電荷担体が正の媒体では、電流の向きと電荷担体の流れる方向は一致する。
真空においては、イオンや電子のビームを形成できる。他の伝導性の媒体では、正の電荷と負の電荷を帯びた両方の粒子が流れを作り、電流を生じさせる。例えば電解液における電流は、電荷を帯びた原子(イオン)の流れであり、正のイオンと負のイオンの両方が存在している。鉛蓄電池のような電気化学的な電池では、正の水素イオン(陽子)が一方向に流れ、負の硫酸イオンが反対方向に流れることで電流が生じる。火花やプラズマに生じる電流は、電子と同時に正および負のイオンも流れている。半導体では、電流を正孔の流れと見ることもできる。正孔は、半導体結晶内で価電子帯の電子が不足した状態を表したものである。なお、これはp型半導体の場合である。