電荷とは、ある種の素粒子が持つ性質であり、物理学において自然界の4つの根源的な基本相互作用の一つである電磁気力の元となる。電荷は原子内にもともとあり、よく知られる担体としては電子と陽子がある。また電荷は保存量であり、孤立系内の電荷量は系内でどんな変化が起きても変化しない。孤立系内では電荷は物体から物体へ転送され、その転送は直接的な接触の場合もあるし、金属の導線などの伝導体を伝わって行われることもある。静電気とは電荷が物体に(不均衡に)存在する状態であり、通常異なった素材をこすり合わせることで電荷が一方からもう一方に転送されて生じる。
電荷が存在すると電磁気力が発生する。電荷が互いに力を及ぼしあう現象は古くから知られていたが、その原理は古代には分かっていなかった。ガラス棒を布でこすって帯電(電荷を帯びること)させ、それを紐でつるした軽いボールに触れさせると、ボールが帯電する。同様のボールを同じようにガラス棒で帯電させると、2つのボールは互いに反発しあう。しかし一方をガラス棒で帯電させ、もう一方を琥珀棒で帯電させると、2つのボールは互いに引き付け合う。このような現象を研究したのが18世紀後半のシャルル・ド・クーロンで、彼は電荷には2種類の異なる形態があると結論付けた。すなわち、同じ種類の電荷で帯電したものは反発しあい、異なる種類の電荷で帯電したものは引き付け合う。
この力は荷電粒子自身にも働くため、電荷は物体表面に互いに距離をとるように一様に分布する傾向がある。この電磁気力の強さはクーロンの法則で定式化されており、互いの電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例する。電磁気力は強い相互作用に次いで強い力だが、強い相互作用とは異なりあらゆる距離に働く。ずっと弱い重力相互作用と比較すると、2つの電子が電磁気力で反発しあう力はそれらが重力で引き付け合う力の1042倍である。
電子と陽子の電荷は極性が逆であり、物体全体の電荷は正の場合と負の場合がありうる。一般に電子の電荷を負、陽子の電荷を正とする。この習慣はベンジャミン・フランクリンの業績に由来する。電荷量は記号 Q で表され、その単位はクーロンである。電子はどれも同じ電荷量を持ち、その値は約 −1.6022×10−19 クーロンである。陽子は同じ大きさの極性が逆の電荷量を持つので +1.6022×10−19 クーロンとなる。電荷は物質だけでなく反物質にもあり、それぞれに対応する反粒子は大きさが等しく極性が逆の電荷量を持つ。
電荷量を測定する手段はいくつかある。検電器は最初の電荷測定機器だが、今では授業での実験などでしか使われない。今では電子式のエレクトロメータがよく使われている。