アーク放電は電極からの電子の放出が前述のγ作用以外のものが主となる放電の形態で、放電の最終形態となっている。 照明ランプや、アーク溶接に利用され、たとえば、蛍光灯においては、低気圧水銀蒸気中における熱陰極アークが利用されている。
アーク放電は負極からの電子放出の形態により、負極の加熱により起こる熱電子放出による熱陰極アークと、負極表面に存在する非常に強い電界により直接電子が放出され(電界放出あるいは冷電子放出と呼ぶ)る冷陰極アーク(電界アークとも呼ばれる)に分れ、負極が炭素・タングステンなどの高沸点材の場合は熱陰極アーク、鉄・銅・水銀などの低沸点材の場合は冷陰極アークになるとされるが、不明な点も多い。
また、放電路における気体分子の電離も電極間の気体圧力により異なり、低圧の場合はグロー放電同様α作用によるが、標準気圧~高圧では熱電離が主となる。 標準気圧の空気中ならば電極間に熱電離したイオンの量が十分に存在する為、イオンが電路の役割を果たし、非常に低電圧大電流で放電を保つことが可能になる。このときの温度は10000Kを超える。